【観ました】ドント・ブリーズ

観ました。超怖。

 

単純な「逃げる側」「追う側」だったり「善」と「悪」みたいな分かりやすい対立じゃなく、攻守が目まぐるしく入れ替わる事で「ジジイお前マジでコテンパンに懲らしめてやれよ!」とか「もー!なんで音立てちゃうかなー!!」だったり、都度感情移入するキャラクターが変わっていくのが面白い。もっとじっとりとして地味な映画だと思っていたので、クローゼットに始まり巨大な地下室、エアダクトから車の中(犬と車と言えばスティーブン・キングのクージョだけどオマージュかな?)まで様々なシチュエーションがテンポ良く続いたのも逆に良かった。

 

盲目の退役軍人を演じたスティーヴン・ラングの説得力もとにかく半端なくて、「いやいや、盲目だしすぐに逃げられるでしょw」と思うところを、恐ろしく屈強な肉体と止めどなく溢れる感情と殺意に満ちた表情で、「触れられたら終わり」感をビンビンに漲らせて主人公達をねじ伏せていく。

 

印象的なのは完全なる暗闇の中をイメージした撮影方法。テレビ等々で暗視カメラの映像を見慣れている事もあってかこの演出は見事にハマってた。影の使い方も上手い。ミスリードを誘う最初のシーンも上手く効いてた印象。途中で明らかになる彼の異常性もいわゆる脱出ものとは一線を画す劇薬になってたと思うw 次回作があるのか?モヤモヤさせるオチも気になるところ。

 

DON'T BREATHのタイトル通り、呼吸止まりっぱなしの映画でした。面白い!

【観ました】ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

ようやく。

 

フォースを扱うめっちゃ強いヒーローが存在しない、というかめっちゃ遠い何処かにいるって設定だけでこうも楽しめるとはなー!「反乱軍はデス・スターの設計図を盗みました」っていう都合のいい前置きを2時間ごっそり楽しめる作品に仕上げたギャレス・エドワーズの仕事っぷりの素晴らしさ。

 

前半の個人的な見どころはドニー・イェンの殺陣に尽きるのですが、「棒wwwSWの世界なのに武器が棒www」なんて思ってた人にもあの説得力のある動きは刺さってるといいなー。ベイズとのやり取りも微笑ましかったし。前半はキャラの紹介をしながらゆるゆると進んでいくのですが、設計図奪還へ向けて動き始めた時から物語は凄まじい熱量を持ってラストに向かって突き進みます。

 

「俺達は汚い仕事ばかりやってきた」と言ってジンの元に集った無名の兵士達。キャシアン含めて華が無い所がもう最高に泣ける。いわゆる「無敵のヒーロー」が居てしまうとそいつにしかスポットライトが当たらないんだけど、本当はたくさんの何でもない人達の犠牲と活躍で成り立ってるわけで。そしてあのデス・スターの設計図を奪った功労者達なのに、その後のエピソードに誰一人登場しないって所からうっすら想像してたんだけどそれぞれのキャラのあまりにもあっけない死に様が更に泣ける。そうそう、人間なんてすぐに死んじゃうのだ。その捉え方はシン・ゴジラとかにも通じる所があるんじゃねーかとも思ったり。

 

スター・デストロイヤーが徐々に光に照らされて現れたりマッスル・ドッキングしたり、ベイダー卿が雑魚兵士をなぎ倒していくシーンとか他にもぐっと来るポイントは山ほどあったし、あと当時の未公開シーンを使ったと言われてるラストのアレ、失礼だけど心臓止まりました。これまでのシリーズ観てない人も、予備知識無しで全然楽しめる作品ですし、冬休みのお供に是非。

【観ました】GANTZ:O

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観ました。GANTZ:O。

GANTZの中でも特に面白い大阪編をフルCGで映画化。自分は原作を曖昧にしか覚えてなかったこともあってかなり楽しめたが、大阪編をばっちり覚えてる人は物足りなさを感じるかも。

 

コミックス数冊分の内容を2時間に収めつつ、初見の人に「そもそもGANTZとは何ぞや」って説明をするために、登場人物の削減(バンパイア達やきんにくらいだー、超能力者の2人をはじめ、ぬらりの頭を抱えてた人とかSEX依存症の人は出て来ない)とストーリーのリライトががっつり入ってた。そこを受け入れられるかどうかでこの作品の評価は大きく変わると思う。

 

CGのクオリティは圧倒的な完成度で文句なし。エリカの揺れるおっぱいとかスーツのツヤ感とかエリカの揺れるおっぱい、あとエリカの揺れるおっぱいを完全に再現出来てた。やっぱガンツスーツってエロいよね!

 

ビジュアル面は完璧だけどストーリーに大幅な変更が入ってるせいで、原作愛が深い人よりも「GANTZ?何それ?」な人とか自分のように「なんか妖怪出てたよねー・・・」ってくらい曖昧な記憶の人ほど楽しめるっていう一種のねじれ現象が発生してしまってるのが非常に勿体無い。とは言え超巨大な姿に変貌した牛鬼と戦うガンツイエーガーの姿を拝めると考えると1800円は全然安いと思いますよ。あれ完全にパシフィック・リムだったなーw

【観ました】バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所

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低予算ホラー映画の音響スタジオに雇われたギルデロイ。

異国の地で言葉も通じない。外出を一切する事なく

仕事漬けの日々に少しずつ疲弊し、精神が磨耗し、

現実と映画の世界の境目を失っていく・・・といった感じの話。

 

人体をズタズタにする、髪を引きちぎる、

人を水の中に沈めて溺れさせる、といった残虐なシーンが

次々と出て来るけれど、終始映像はこちら側には見えなくて、

野菜を巧みに操って音を入れる技師達しか見えない。

グロいシーンを受け手の想像に完全に委ねた演出が良かった。

 

最後は文字通り気が触れてしまったところで終わるのですが、

精神が崩壊したのがいつからだったのかが全く読めないのが逆に面白い。

 

自分自身が映画に出演しているのを見た時か?

スタジオに来るために乗った飛行機が存在しないと言われた時か?

母からの手紙が急にグロい内容に変わった時か?

なんて事を考えてると、そもそもギルデロイは本当に録音技師で

イタリアで仕事をしていたのか?ってとこまで遡れてしまう。

 

音を録るために潰れた野菜をやたら官能的に映したり、

女優が叫び声を上げ続ける様子を延々と引いていくことで表現したり、

画の見せ方も幅広くて良かった。

 

人には非常にオススメしにくい作品ではありますが、

クローネンバーグやデヴィッド・リンチが好きなら楽しめるのでは?な作品でした。

ジャック・タチ - プレイタイム

傑作。

 

まず衝撃を受けたのが斬新なカメラワーク。

他の映画では当たり前の顔や手元等のズームが一切無く、

ぐっと引いた絵の中で老若男女、様々な人物が常に動き回る。

3秒に一度は小ネタが発生するし、それが最後まで続いていく。

 

監督直々に一人ずつ指示を受けたエキストラ達は

時に主役以上に独特で面白い行動を見せるので

次第に誰が主役なのか分からなくなるw

ウォーリーを探せ!」を実写化するとこうなるんだろうなー。

 

もう一つ、劇中に出て来るパリの街並みは全てセットらしい。

あまりにも壮大なので言われてもピンと来ないけれど驚愕。

 

ストーリーは二部構成になっていて、

前半はひたすらミニマルに進むものの

終盤に向けて物語はスピードを増し、熱量を上げていく。

 

ラストの早朝のシーンがとても印象的で、

ageHaの帰り道の橋渡る時の感覚と全く同じというか

ワイワイ騒いだ後の余韻に浸るようで心地が良い。

 

日曜の午後にぼんやり眺めていたくなる映画でした。